封じられた愛、笑い 禁断の書には何が書かれていたのか
宗教論争、異端審問、魔女狩りなど暗く重たい中世の描写の中に思わず引き込まれてしまう映画『薔薇の名前』登場する修道士の一人一人が当時の人々を、そして時代背景を想像させるほど、個性が見事に描かれています。まるまると太った教皇組織の人たちや、やせ細った農民たち、恐怖に怯える修道士たちに長老は、人間として修道士としての教育ではなく、翻訳、朗読ただそれだけに徹しろと排他的態度で威圧します。この映画の舞台となったイタリアの修道院での会議にイギリスの修道士ウィリアム(ショーン・コネリー)と、見習いのアドソ(クリスチャン・スレーター)が参加していました。そこへ次々と殺人事件がおきます。修道院の中は、ミステリーに包まれます。秘密の扉や、鏡、棺、この二人は、次々と謎を解明して行くのですが、秘密の書庫を見つけた時のウィリアムの喜びに彼のそれまでの苦悩の人生がオーバーラップしてきました。でもその場所は、迷宮の中なのです。ラビリンスの神話の世界へとみる人たちを誘います。ラビュリントス labyrinthos(英語ラビリンスLabyrinth)とは、 ヘレネス(ギリシャ)神話由来の語で、中世以降ヨーロッパでは「迷宮」を指す語になっていたようです。 ギリシア神話では、クレタ島のミノス王がミノタウロスを閉じ込めるために工匠ダイダロスに造らせた迷宮。ミノタウロスには、若い娘達を生け贄として捧げていましたが、生け贄に選ばれたアリドネには婚約者がいました。 ミノタウロスを倒した勇者テセウスは迷宮で迷わないようアリドネの提案で、彼女の衣服の金の糸を使ってその迷宮に入りました。 ラテン語ではlabyrinthus。ミノタウロスはミノス王の妻パシパエと牡牛の間に生まれた怪物でした。ある時ミノス王は海神ポセイドンに捧げる生贄の牡牛が非常に立派なのを見て惜しくなり、自分のものにしてしまいました。それでポセイドンは怒り、パシパエに呪いをかけ、パシパエが牡牛に性的興奮を覚えるようにしてしまいました。それで牡牛とパシパエの間に生まれたので半人半獣の姿で生まれてきたのでした。 ラビュリントスの語源は、推測ではリュディア人の「ラブリュス(両刃の斧)」、国王の力の象徴で、 迷宮はミノス文明の王の宮殿で「二重の斧の宮殿」を意味したのではないかということです。 地下迷宮で勇者が魔物を倒す、というファンタジーの物語の原型がこの映画でも使われています。
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ウィリアム修道士はついにアリストテレスの書いた禁断の書を見つけます。アリストテレスはプラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンと共に、しばしば「西洋」最大の哲学者の住人と見做され、又その多岐にわたる自然研究の業績から「万学の祖」とも呼ばれています。イスラーム哲学や中世スコラ学に多大な影響を与えた。またアレクサンドロス大王の家庭教師であったことでも知られています。名前の由来は古典ギリシャ語の“aristos”(最高の)と“telos”(目的)から 。生涯 はアリストテレスは紀元前384年、マケドニア王の侍医の息子としてマケドニアのスタゲイラに生まれた。17歳のとき、アテナイにあるプラトンが主催する学園アカデメイアに入門し、そこで20年間学生として学び、その後アカデメイアの教師として後進の指導にあたりました。そして紀元前347年にプラトンが死ぬまでアカデメイアに留まりました。紀元前347年、マケドニア王フィリッポス2世の招聘により、王子アレクサンドロス(後のアレクサンドロス大王)の家庭教師となり、アリストテレスは弁論術、文学、科学、医学、そして哲学を教えました。その禁断の書とは、長老がもっとも恐れていた、叡智とは、アリストテレスにありました。あとは、見てのお楽しみです。ママキッチンホームページ
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